無期雇用派遣にはメリットがなくデメリットだらけ!?じゃあ誰得なのか?
無期雇用派遣は賛否両論ありますね。
そして
「デメリット多すぎ」
「メリット1個もないじゃん」
という意見が目立ちます。
本当にそうなのでしょうか?
それなら誰が得する制度なんでしょうか?
というわけで今回は無期雇用派遣のメリット・デメリット、誰のための制度なのかを分析してみたいと思います。
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無期雇用派遣のメリット
まずは無期雇用派遣のメリットから見ていきましょう。
そもそもメリットはるのでしょうか?
1. 3年ルールを回避して同じ職場で3年以上働ける
無期雇用派遣の最大のメリットはこれです。
3年ルールを回避できること。
そもそも無期雇用派遣という制度が生まれた背景が派遣社員は同じ派遣先で3年までしか働けない、という3年ルールを回避するためです。
2013年、2015年の法改正で派遣社員は専門26業務も含めて同じ人が同じ派遣先で3年以上働いては行けなくなりました。
だからどんなに派遣社員側も派遣先も継続して働くことを望んでいても法律のせいで転職せざるをえないわけです。
派遣社員の中には、今いる職場が気に入っていて3年以上働き続けたい人はかなりいると思います。
そういう人にとって3年ルールという法律は最悪ですね。
しかし派遣会社の無期雇用派遣になれば3年以上働けます。
逆に言えば無期雇用派遣にならないとどんなにずっと働きたい職場でも3年以内に強制的に辞めないといけなくなるわけです。
つまり、この3年ルールを回避したい人にとっては、積極的に無期雇用派遣になるというよりは必要に迫られて仕方なく無期雇用派遣になる、というイメージですね。
2. 雇用&収入が安定する
次に雇用と収入が安定すること。
これは当たり前ですけど、
有期雇用契約=契約期間が決まってる契約から
無期雇用契約=契約期間に定めのない契約に変わるので雇用が安定します。
さらに
派遣の契約が終了して次の仕事が見つかるまでの待機期間にも給与の6割が支給されます。
だから雇用も収入も安定します。
ただし、この待機期間ですが、派遣会社によって対応はさまざまです。
たとえばパソナは就業規則に待機期間が1ヶ月経過した時点で社員は退職するものとする、というようなことを書いたことでバッシングを受けました。
なので今は就業規則から削除されましたが、待機期間が長いと解雇されてしまう可能性が高いと言えるでしょう。
他社でも待機期間には派遣会社内の1日8時間の仕事をすぐにやらされたとか聞きますし、生活保護みたいに誰でも待機してるだけでお金がもらえるような甘い制度ではないのは間違いないです。
というわけで一応メリットに入れましたが、それほど大きなメリットとは言えないかもしれません。
3. 交通費がもらえる
次の交通費がもらえること。
無期雇用の派遣社員は交通費がもらえるのが一般的です。
ただし、派遣会社によります。
大手はほぼもらえますが、小さな派遣会社だともらえないこともあります。
また大手でも交通費がもらえる分時給が下がる職場が多いです。
ただ、交通費は税金の控除が受けれるため、節税効果はあります。
だからもし交通費がもらえた分時給が下がったときにもらえる給与の総額が同じであれば交通費がもらえる方が得します。
一般的に言われるボーナスもらえる・月給制になるは嘘
無期雇用派遣のメリットとして、
- ボーナスがもらえる
- 給与が月給制になる
と書いてるサイトが多いですが、これは嘘です。
無期雇用派遣ってだけでボーナスはもらえないし、給与も月給制にはなりません。
実は無期雇用派遣には2種類あるのです。
そしてほとんどの無期雇用派遣にはボーナスなんてありません。
無期雇用派遣になると月給制になってボーナスがもらえるのは嘘だった!?
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無期雇用派遣のデメリット
では次に無期雇用派遣のデメリットを見てみます。
1. 職場が選べない
無期雇用派遣の最大のデメリットがコレです。
職場が自由に選べないこと。
職場が自由に選べることが派遣社員の最大のメリットなのに無期雇用派遣になるとそのメリットが消えてしまうのです。
これが多くの人が「無期雇用派遣になりたくない」と言う理由ですね。
無期雇用派遣は派遣会社との間に雇用関係があるので派遣会社に文句が言えず、「行け」と言われた職場に行かなければなりません。
そして無期雇用派遣に回される職場はたいてい、職場環境が悪くて普通の派遣社員が選ばないようなところだったりします。
- パワハラ上司がいて職場環境が悪いところ
- 駅からかなり離れてるところ
- 通勤に1時間以上かかるところ(無期雇用の契約で通勤は120分までの職場と決められてることが多い)
完全に派遣会社のパシリみたいなイメージですね。
これが嫌で
絶対無期雇用派遣にはなりたくない
という人がかなり多いのではないかと思います。
2. 時給が下がることが多い
すでに説明した通り、無期雇用派遣になると交通費がもらえる分時給が下がるケースが多いです。
下がる時給の幅にもよりますが、交通費がもらえるようになる意味がないです。
交通費がもらえる分時給が50円下がる程度ならまだいいですが、中には300円以上下がるケースもあります。
ここまで時給が下がってしまうと交通費がもええる分を差し引いても給与の総額は大幅に下がります。
無期雇用派遣に転換したら年収が50万以上下がった、なんてことになるケースも少なくないです。
ただアデコのハケン2.5は時給を下げずに無期にしてくれるようです。
アデコの「ハケン2.5」が無期雇用派遣のデメリットを絶妙に解消してる件
3. 簡単に仕事を辞めにくい
普通の派遣社員なら契約期間満了で簡単に仕事を辞めやすいメリットがあります。
でも無期雇用派遣の場合、辞めにくくなります。
たとえば普通の登録型派遣社員であれば契約期間満了で辞めて次の仕事をする前に3ヶ月海外に行くなどの自由が効きました。
でも無期雇用派遣だとこういう自由は効かなくなります。
すぐに次の職場に行くよう指示されるか、派遣会社の内勤になるか、もしくは解雇になります。
また無期雇用派遣の社員が本気で辞めたいとなるとその派遣会社との関係を切ることになるので辞めるハードルが高くなります。
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無期雇用派遣で得する人・損する人
デメリットが多く、メリットらしいメリットもほとんどない(3年ルール回避ぐらい)無期雇用派遣社員。
そもそもこの制度は誰得なんでしょうか?
無期雇用派遣で得する人
1. 派遣会社
無期雇用派遣で一番得するのは派遣会社です。
間違いないです。
実は派遣社員を無期雇用から有期雇用に切り替える際、一般的に派遣会社と派遣先の会社の間で交渉が行われ、派遣先の会社がそれまでよりも1人当たりの派遣の単価を上げるのが普通です。
上がり幅は大体20%くらい。(上がらない場合もあり)
で、この上がり幅の分派遣社員に還元するのかというとそうでもないです。
ほとんどの派遣会社が無期転換した派遣社員の交通費を支給する分時給を下げるので派遣社員の給与はほぼ変わりません。
じゃあ派遣先が多く払ったお金はどこに行くのか?
基本的には派遣会社の懐だと思います。
まぁ派遣会社は待機期間の派遣社員にも給与の6割を払わなきゃいけないのでその分のお金を確保するためのプール金と言い訳できますが…。
でもこれ派遣先企業にとっても派遣社員にとってもいい気はしませんよね。
派遣会社が一人だけ得するようなものですから。
そしてもう一つ派遣会社にとってのメリットになるのが、まず無期雇用派遣としてたくさんの派遣社員を長期間囲い込むことで、利益を生み出せること。
派遣会社にとっては派遣社員の数が多ければ多いほど儲かりますからね。
さらに無期雇用の場合はある程度派遣社員の意志を無視してこちらが送り込みたい職場に送り込みやすいこと。
派遣会社が抱えてる案件の中には、普通の人が応募したがらない不人気の求人が少なからずあります。
そういった案件に無期雇用派遣を送り込めるというのは派遣会社にとってかなり大きなメリットになります。
2. 3年ルールを回避して長期間働きたい・働かせたい派遣社員&派遣先企業の経営者
次に3年ルールを回避したい派遣社員&経営者ですね。
派遣社員にとってはめっちゃ働きやすくて待遇もいい職場を見つけたらずっとそこで働きたいのが本音です。
これが3年ルールという法律のせいで3年までしか働けなくなってしまいました。
これを回避できるのは大きなメリットです。
それは派遣先企業の経営者にも言えることで、長く働いていて頼もしい戦力になってる派遣社員に3年ルールだからといって辞められると困ります。
派遣社員にとっても派遣先企業にとっても同じ職場で期間の定めなく長期間働けることはメリットになります。
3. どこでもいいから働きたくて、収入を途切れさせたくない人
最後に貯金がなくて生活がギリギリ、仕事がなくなると困る人です。
こういう人は派遣社員として働いてて、突然契約が終了して一時的にでも無職になると困ります。
貯金がなければ借金生活になってしまいますから。
こういう人にとっては待機期間にも給与がもえらて、すぐに次の仕事を紹介してもらえる無期雇用派遣は魅力的かもしれませんね。
職場が自分で選べないデメリットを受け入れるなら、の話ですけどね。
無期雇用派遣で損する人
1. 一般的な派遣社員
逆に無期雇用派遣で一番損する人は誰か、というと普通の派遣社員だと思います。
普通の派遣社員なら無期雇用派遣になることで時給が下がり、待遇が以前より悪くなってしまうケースが多いため、無期転換することで損することが多いからです。
時給がちょっと下がる程度ならまだいいとして、自由に職場を選べなくなるのは大きなデメリットです。
自由に職場を選んで働けるのが派遣社員のいいところなのにそのメリットが打ち消されてしまうわけですからね。
また、これは微妙な問題ですが、無期転換することで一人当たりの派遣社員の単価が上がります。
そうすると派遣先企業はその分もっと働いてもらおうと考えて、一人当たりの仕事量を増やそうとする可能性があります。
それにより今までは発生してなかった残業や休日出勤などが発生する可能性もありえます。(あくまで可能性です)
派遣社員からしたら給与は上がってないどころか下がってる人もいるのに、仕事だけ増える、という超理不尽な状態になります。
2. 派遣先企業
次に派遣社員を雇ってる派遣先企業も損します。
なぜなら、すでに説明した通り、派遣先企業は交渉に応じて無期転換した社員に対して給与を20%程度多く支払わなければいけないからです。
逆に言えばこれ以上お金を払いたくない派遣先企業は3年ルールの前にその派遣社員との契約を切ろうとします。
それにより派遣切りが起こりやすくなります。
よくある事例として、3年ルールを回避したくてわざわざ無期雇用派遣に転換したのに派遣先に契約を切られて結局同じ職場で働けなくなるケースがあります。
これは派遣先企業が無期転換に伴う単価アップを受け入れなかったときに起こることです。
それにより損するのも派遣社員なので、無期雇用派遣の一番の被害者は間違いなく派遣社員ですね。
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無期雇用派遣は基本派遣会社だけが得する仕組み。ただし…
というわけで無期雇用派遣は派遣会社だけが得して、派遣社員・派遣先企業は損する仕組みであることがわかりました。
特に派遣社員は無期雇用派遣になることで時給が下がり、切り替わる前よりも年収が下がってしまう可能性が高いです。
冒頭で伝えた通り、無期雇用派遣は派遣社員にとってはメリットがほとんどなく、デメリットの多い制度です。
ただし、中には無期雇用派遣に転換した方がいい人もいます。
それが
3年ルールを回避して同じ職場で働き続けたい人
です。
派遣社員の中には絶対いると思います。
今の職場でずっと働きたいくらいいい職場環境に恵まれてる人。
- 時給高い
- 残業ない
- 人間関係良好
- 仕事が楽
こんな感じのめっちゃホワイトな職場ですね。
私も経験ありますがこういう職場で働くと、絶対3年以上、できるなら一生働きたいくらいに思いますよね。
そういう人からしたら「派遣社員にとっても派遣先企業にとってもずっとこのまま働ければお互いハッピーでめっちゃいいのに、なんで3年ルールなんてあるんや…。」と不満だと思います。
こういう人であれば無期転換することで同じ職場でずっと働けることになるわけなのでメリットになりますね。
それで時給が下がらなければ、の話ではありますが。
- 派遣元から無期転換のオファーができて
- 派遣先も無期転換に積極的で喜んで追加料金を出してくれて
- 派遣社員の待遇が変わらない
のであれば派遣社員にとっても無期転換することのデメリットはほぼなくなります。
中には無期転換に悪いイメージがあるからって断ってしまう人とかいますが、こういう状況なのであれば断るのはもったいないですよ。
特にアデコの「ハケン2.5」は無期雇用派遣のデメリットを解消してるのでお勧めです。
アデコの「ハケン2.5」が無期雇用派遣のデメリットを絶妙に解消してる件
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まとめ
以上まとめると
無期雇用派遣のメリット
- 3年ルールを回避して同じ職場で3年以上働ける
- 雇用&収入が安定する
- 交通費がもらえる
無期雇用派遣のデメリット
- 職場が選べない
- 時給が下がることが多い
- 簡単に仕事を辞めにくい
無期雇用派遣で得する人
- 派遣会社
- 3年ルールを回避して長期間働きたい・働かせたい派遣社員&派遣先企業の経営者
- どこでもいいから働きたくて、収入を途切れさせたくない人
無期雇用派遣で損する人
- 一般的な派遣社員
- 派遣先企業
で、無期雇用派遣は基本的に派遣会社だけが得する仕組み、ということでした。
例外は3年ルールを回避したい人で、今の職場でずっと働きたいという強い希望があるのであれば無期転換もメリットになります。
そして大手派遣会社の中でもアデコは派遣社員のことを考えてデメリットの解消に努めています。
アデコの「ハケン2.5」が無期雇用派遣のデメリットを絶妙に解消してる件
無期雇用派遣は基本的にはデメリットが多いのであまり推奨できる働き方ではないですが、メリットがまったくないわけではないので選択肢としてはありでしょう。
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